A Story of Yellow River

イエロー・リバー」については、発売当初から次の2つのことはよく知られていました。

1.元々トレメローズが新曲として発表する予定であったが、発売中止となったため、作曲者のJeffクリティーを結成し、自ら発表した。
2.メンバーのMike Blakleyは、そのトレメローズAlan Blakleyの弟である。

更に、ファンの間では次のことも知られていました。

3.クリスティーの「イエロー・リバー」は、ボーカル以外、実はトレメローズの演奏である。

このあたりの事情を少し詳しく調べてみました。

♪ トレメローズが「イエロー・リバー」と出会うまでのいきさつ
Alan Blakley
トレメローズ
のメンバーで最初に「イエロー・リバー」に興味を持ったのはAlanですが、いつ彼がこの曲を聞いたかについて、2つの説があります。

1つはデモテープを聴いて気にいられたと言う説で、事実、Jeffはデモテープを持ってレコード会社に盛んに売り込みに行っていましたし、Jeff自身も「トレメローズの事務所にテープを送ったら、気にいってくれた。」発言しています。

もう1つの説は、Jeffが直接Alanに会って聴かせた曲の中から「イエロー・リバー」が選ばれたと言うものです。Jeff自身も「1969年の9月にBatleyトレメローズに会い、「イエロー・リバー」が気に入られた」と言う発言をしていますし、Alanも「Blackburnに行った時に山ほど曲を聴かされて、その中にこの曲があった」と言っています。地名は違っていますが、こちらの説の方が信ぴょう性が高いようです。

ただ、JeffAlanに会うことになったきっかけとして、事前にデモテープを聴いていたということはあったのかも知れません。

♪ トレメローズが「イエロー・リバー」を録音するまでのいきさつ
The Tremeloes
ここでも2つの説があります。

1つはトレメローズが積極的に自分たちの新曲としてレコーディングしたと言う説で、Jeff自身もそのように言っています。ただシングル用として録音したかどうかは定かではありません。と言うのは、通常シングルのA面はAlan(左の写真の一番下)がリードボーカルなのですが、「イエロー・リバー」は、ドラムスのDave(写真の一番上)が歌っているからです。事実、Alanも「アルバム用の曲のつもりだったが、それだけでは惜しいようないい曲だと思った」と語っています。

もう1つは、HP "The GREATEST pop music group EVER"でRay Chanが書いている説で、元々トレメローズにはこの曲をレコーディングする気は無かったのに、この曲を気に入った Mikeが出資してスタジオを借り、トレメローズに録音させたと言うものです。25,000ポンド借金をしただとか、やたら具体的な話しですが、前後の状況から考えて、やや信ぴょう性に欠けます

♪ クリスティー名義で「イエロー・リバー」を発表するまでのいきさつ
Christie
一度は次の新曲は「イエロー・リバー」であると発表したものの、結局トレメローズは自分たちのオリジナル"(Call Me) Number One"をシングルとして発売します。その結果、「イエロー・リバー」はクリスティー名義で発売されることになるのですが、そのあたりのいきさつにも2つの説があります。

1つはJeffが語っているもので、当時トレメローズのマネージメントをしていたBrian Longley(後にクリスティーのマネージメントも引き受ける)がこの曲を没にするには惜しいと思い、Jeffと相談のうえJeff自身がバンドを結成して発表することを決め、まずMikeに声をかけ、さらにMikeが自分と同じThe Epicsでギターを弾いていたVicを呼んだと言う説で、一般的にはこの説が信じられています。

もう1つは、HP "The GREATEST pop music group EVER"でRay ChanがVicにインタビューした際に語られた説で、トレメローズAlanが、トレメローズのテープを活用してMikeVic名義で発表したらどうかと勧めたと言うものです。ライブ活動をするにはベース担当が必要だと思ったが、The Epicsのベース担当と連絡がとれなくて、仕方なしにJeffに声をかけたそうです。しかし、後のVicJeffの人間関係から言って、この説はVicに都合がよすぎるようです。

♪ トレメローズの「イエロー・リバー」後日談
their Manager, Brian Longly and his wife
一旦は「イエロー・リバー」を没にして、"(Call Me) Number One"を発表したトレメローズですが、その次のシングルとして再び「イエロー・リバー」を取り上げる選択肢もあったようですが、結局、前作が英チャートで2位になったので気を良くしたのか、再び自分たちのオリジナルにこだわり、"By The Way"を次のシングルとしました。

しかし、何故か、スペインと南米向けには、この"By The Way"をB面に回し、「イエロー・リバー」のボーカル部分をスペイン語に取り替えた"No Comprendes"をリリースしました。

なお、皮肉なことに、彼らが没にした「イエロー・リバー」が1位となり、世界中で大ヒットとなったのと対照的に、"By The Way"は35位と振るわず、そのまま彼らのの人気は下降して行きました。